2011.03.19

X-Yテーブルの入手

X-Yテーブルは手持ちがあればそれを使えば良いでしょう。小生はオフコーポレーションで売っている2軸スライドテーブルを持っていますので、それを使っています。新しく買う場合は、この様に重くて立派なX-Yテーブルはねじ切り治具用としては必要ないでしょう。このテーブルは値段が高いのが問題です。また大きいので小型の旋盤には、はみ出して乗せにくいでしょう。VL300のような大型旋盤の場合は、バランスがとれて相性が良いです。

ねじ切り治具マークUへ
1"x8TPI ねじ切り治具の製作
インチネジの入手
完成
ねじ切り治具の自作

これがVermecねじ切り治具の本体です。本体に付いているカーラーのピッチは10TPIですが、左下の写真で上にあるものは16TPIです。このカーラーを交換すれば異なるピッチのねじを切ることが出来ます。左側の軸にチャック、フェースプレートなどを取り付けて使います。小生の物はサブの小型旋盤の主軸と同じ1”x8TPIになっています。これはもちろんVermecは希望のピッチの物を作ってくれます。本体はX-Yに動くテーブルの上に固定しX-Yテーブルは旋盤のベッドに固定します。

ノブの製作

長ネジを手で持って回すのでは、やりずらいのでノブを取り付けました。Beallの1"x8TPIのスピンドルタップを使って木にねじを切り、旋盤で挽いていきます。写真はありませんが簡単ですので、分かると思います。

長ネジとナットを固定する本体を木で作ります。100mm角のケヤキを使いました。ノミでナットの形に丸い穴を拡大します。ナットを両側に入れて長ネジを通してみます。抵抗なくスムーズに長ネジが回ればそれでOKです。長ネジが硬くて回りにくい場合はナットの穴を削って調整します。

チャックを治具に取り付けて、カッターに近づけます。1回転させてみてカッターとワークの間隔が変わらないかどうか確認します。大きく変わる場合があります。その場合はチャックを少し回転させて、また間隔をチェックします。チャックの止まる位置で芯が出るところがあります。このカッターとワークの間隔が変わる理由は、ねじのガタによるものでねじの精度が悪いということです。チャックの後ろにナットを入れて、チャックを固定できるようにします。何処かに芯が出る位置があるので、その場所が見つかればナットを締め付けてチャックを固定して下さい。

ねじ切り治具は小生の知る限り、4〜5社から販売されています。その内ボニークラインVermecの物を使ったことがあり、現在はVermecのものが手元にあります。メーカー製なのでもちろん問題なく使えます。手持ちのピッチは16TPIと10TPIです。Vermecの場合は希望のピッチを連絡すれば、特注で作ってくれます。これらメーカー製の問題点は、値段が高いということだけですが、それはそれで大きな問題です。従って自作をされる方が居られます。今回は比較的安価で簡単に出来るねじ切り治具を自作してみました。1”x8TPIの主軸の旋盤を持っている方は、スピンドルアダプターなしで使うことが出来ます。

追記:もっと安いのが見つかりました。プロクソンのマイクロ・クロステーブル 27100 で送料、税込みで7,500円です。テーブル寸法/210x70mmでテーブル高さは43mmなので、小型旋盤には最適です。↓

小型旋盤にはHOZANのX-YテーブルK50というのが、ぴったりのサイズです。テーブルの寸法は210mmx70mmです。テーブル高さは45mmです。値段は楽天市場で送料込みで12,640円です。クランプが付属します。⇒

出来上がりです。これで80%は出来たようなものですが、長ネジの高さが両側で同じかどうか確認します。水平に対し傾いているようなら、木を削って水平になるようにします。

下の写真をクリックすると、ネジを切っている動画を見ることが出来ます。↓

X-Yテーブル
ネジのピッチの追加

製作したねじ切り治具本体をX-Yに動くテーブルの上に乗せます。高さがVL300には不足するので、木を接着して高くしました。X-Yテーブルには付属のクランプで固定します。

今回は8TPIの長ネジを使いましたが、ピッチが荒いと感じる場合は10TPI、12TPIなどの長ネジを使えば良いでしょう。その場合は今回の1インチの長ネジと違って直接チャックを取り付けることは出来ません。心響太鼓さんはスピンドルアダプターを、希望のネジサイズで作ってくれる様なので、問い合わせてみたらいかがでしょうか?

自作する治具の構造はVermecの物と同じにします。まず軸となるものは1インチのボルトを使います。長さは一番短い285mmの物がこの用途にはぴったりです。軸受は同じ1インチのナットを使います。この様な太いインチサイズのボルトとナットはホームセンターでは手に入りにくいのでねじNo,1.comから通販で買ってください。ボルトは2本で485円、ナットは5個で445円です。1個単位では売ってくれず、420円以上買う必要があります。送料は500円なので両方買うと、1,430円になります。

チャックを取り付けて設定してみました。特に問題はないようです。カッター、X-Yテーブルなどが手持ちがあったので、長ネジとナットを買うだけで出来上がりました。費用は1,350円です。X-Yテーブルカッターなどを購入すると、1.8万円ぐらいかかります。

ジョイフル本田千葉ニュータウン店では1インチの長ネジが1本405円で売っています。通販の2倍ぐらいの値段ですが、売っていること自体を評価したい。

これが1インチx8TPIの長ネジ(285mm)とナットです。

カーラーを外したところです。カーラーのピッチで切られるねじのピッチが決まります。本体の反対側にはベアリングが入っています。

主軸にカッターを取り付け最高回転数である3000RPMぐらいでまわし、ねじを切って行くことになります。

カッター

Vermecの治具の場合は下のカッターが付属します。自作の場合は柄付きダブルアングルカッターというのを購入すれば良いでしょう。4,556円です。刃の角度は60度の物を購入する必要があります。TAIYO ダブルアンギュラーカッター60度というのもあります。

これは柄付きダブルアングルカッターをコレットチャックに取り付けたところです。ドリルチャックも使えますが、回している最中に主軸から抜けないような工夫が必要です。

問題なく長ネジが回るようであれば、ナットを瞬間接着剤で固定します。ナットと木の隙間から中粘度の瞬間接着剤を垂らします。ナットを上にすると重力で接着剤はナットと木の隙間に入っていきます。ある程度入ったところで、硬化促進剤をスプレーします。

Vermec治具
ねじ切り治具本体の製作
ネジを切ってみる