球面切削治具の使い方

Vermecの球面切削治具ですが、10名ぐらいの方が小生経由購入されました。その内2名の方が真球に挽けないとメールで連絡されてきました。しかし夢工房さんとEbonyさんは問題なく出来ており、マニュアル通り挽けば何の問題もなく出来ると考えていました。小生は球を挽いたとしても、使い道が思い当たらないので、自分ではこの治具を買っていません。従って上手く行かないと言われても自分では確認できません。その時は上手く出来ないのはおかしい。きちんと出来ている人が居るので、マニュアル通りもう一度やり直してくれと返事しました。しかしその話を、ももとせ工房さんに行った時に話すと、後でなぜ真球が出来ないかメールで説明を頂きました。これで出来ない人が居る理由が分かりました。ももとせ工房さんに感謝です。以下なぜ真球にならないか?どうすれば真球に出来るかを説明します。

刃を反対側に回そうとすると途中で回せなくなります。

軸がずれているをこの様な形になります。逆にかぼちゃのような形、フットボールの様な形も、軸をずらすことで挽くことが出来ます。

こんな形になります。

こちらは治具の旋回軸が手前にずれた場合です。

この旋回中心と旋盤の回転軸がずれた状態で挽くと下の写真のようになります。良く分かるようずれを大きくしています。

真球に挽けない原因

問題なく挽けている方はVicmarcの旋盤を使っています。球面切削治具を注文するときに、旋盤の型名をVermecに連絡しています。Vermecの社長とVicmarcの社長は兄弟なので、お互いの製品を熟知しています。ベッドの溝の幅も、公差を含めて知っていると思われます。従ってVL200とかVL175用は治具の取り付け位置の精度が高い物と思われます。真球に挽けない理由は下の図を見て下さい。旋盤の上から見た図です。治具の旋回中心が旋盤の回転軸から奥行方向にずれていると、フットボール型の球になってしまいます。下の赤い線です。両方の回転軸が合っていると黒い点線の真球になります。青い線はオフセットターニングの様に回転する球の軌跡です。Vicmarcの旋盤だとこの治具の旋回中心と旋盤の回転軸の位置が完全に合っています。Vermecがベッドにロックする金具をぴったりの寸法でを作っており、このずれが殆どないと思われます。一方上手く行かないと言っている人の場合、一人はGrizzly、もうお一人はJet Miniです。Vermecはこれらの旋盤のベッドのスロットサイズを公差を含めて正確には知りません。従って取り付けることが出来ない様なギリギリの寸法の金具にはせず、余裕を持たせています。つまりベッドに取り付けた状態で前後方向にガタがあるはずです。上手く出来ない方は治具を旋盤に取り付けて前後方向に動かして下さい。少し動くはずです。治具の旋回中心と旋盤の回転軸が1mmずれていると、球としては2倍の2mmの違いになってきます。0.5mmずれていると直径の大きいところと小さいところでは1mmになります。これぐらいずれていると目視で真球でないと分かります。

対策としては治具をベッドに固定する時に、出来るだけ回転中心の下に来るよう努力します。VL200とかVL175だと努力しなくても真下に来るようになっているはずです。それから3時から6時まで軽く挽いてみて(赤い矢印の部分)刃を反対側に持っていきます。反対側(12時の位置)に回して球との間に隙間が出来ているようなら、隙間を半分にするよう旋回中心をずらせます。刃を3時から12時の方へ回そうとしても回らない場合は回るように刃を引っ込めます。それから刃を6時の位置に戻すと球との間に隙間が出来ます。この隙間が半分になるよう旋回中心をずらせます。これで治具の旋回中心と旋盤の回転軸が一致したので、そのまま球を挽いてゆきます。これで真球が出来ます。

対策

これがVermecの球面切削治具です。ベッドのスロットに装着してベアリングの入った台の回りを刃先が回る構造になっています。メーカーが作った物ですから、ベアリングのところにガタもなくスムーズに回ります。真球が挽けない理由が無いように思えます。

刃を反対側に持て行くと刃と球の間に隙間が出来ます。この隙間の半分が軸のズレ量になります。