パビリオンは自然の叡智を探る旅がテーマ。自然の叡智という
考え方は、インドでは幾重にも重なった体系として理解されてい
ます。これを表現するために、菩提樹とダルマ・チャクラというよく
知られた2つの象徴を中心にパビリオンを展開します。 菩提樹
はインド人の自然に対する尊重であり、愛と崇拝の永遠のシン
ボル。パビリオン中央にそびえる木は、ブッダが木陰で悟りを開
いた菩提樹を表現しています。 ダルマ・チャクラは、すべての創
造物を司る永遠の法輪を表しています。エントランス・ホールに
あるダルマ・チャクラは「アショカ・チャクラ」として知られており、イ
ンドの国旗にも描かれています。これらの象徴を中心にインドの
パビリオンでは、古代から脈々と受け継がれてきた宇宙観、世界
観を表現します。
イエメンはアラブで最も開発が遅れた国とされていますが、逆に
、今でもアラブの伝統的な文化、生活が息づく国でもあります。
サヌア旧市街は、独特の昔ながらの高層住宅が立ち並ぶ「世界
最古の摩天楼都市」と言われる街です。このイスラム都市の中
でも非常に美しい都市サヌアの町は、シバーム、ザビートの2都
市とともに人類の文化として国際的な財産と言えます。日干しレ
ンガ造りの家々の窓の縁取りには白い漆喰が塗られ、ステンド
グラスのような飾りが付いています。 パビリオンの展示の中心
は、このサヌアの町並みの再現とソコトラ島の映像です。ソコトラ
島はアラビア海のガラパゴス島といわれ、ソコトラ島にしか生息
しない動物、鳥、植物などが多く、ソコトラ島独自の生態系を形
成しています。
日本人にとって、イスラム教は「遠い砂漠の文化」のイメージが先行しが
ちですが、「英知、調和、希望」をテーマとした展示を通じて、自然環境に
関するイスラム文化の叡智を感じ取ってもらい、イスラムへの理解を深め
てもらうことが博覧会参加の目的です。 最初の展示では、サウジアラビ
アのさまざまな地域の建築物で構成される「想像上の都市環境」、生活
様式文化、そして砂漠の人々の生活様式に現れている知恵を紹介します
。続いてサウジアラビアの国家樹立と石油化学製品をベースにした工業
化の歴史、最後に世界中の各分野で働いているサウジアラビア人の活
動と業績を紹介します。 パビリオン内に大きく表示されるメッカやメディ
ナという聖地の画像は、サウジアラビアの過去、現在、そして未来がイス
ラム教の教えと指導により作られてきたこと、また作られるであろうことを
象徴的に示しています。また、大型サークルビジョンが、有史以前に遡る
アラビア半島の壮大な自然遺産の展示背景を飾るでしょう。 さらに、
2005年はサウジアラビアと日本の国交樹立50周年に当たります。この機
会を通じて、サウジアラビアと日本との絆をさらに強めるとともに、将来に
向けての相互理解に努めます。
パビリオンのポイントは、「宇宙」を象徴的に表している「曼陀
羅」。曼陀羅は、ネパールでは太古の昔から、寺院、宮殿、一
般の住居の企画・設計だけでなく、都市計画の基準や手段と
しても利用されてきました。 入口のところにある、石の蛇口や
石の注ぎ口がついた階段井戸は、天然の水源から水を汲み
上げる昔ながらの給水システムを表現しています。この階段
井戸は伝統的な建築と技術を示すものです。 また、2つの対
角上に設置された中庭風に覆いをした構造物「サッタル」は展
示場、文化活動の場、インフォメーション・センターや屋台の設
営場所にもなります。 そのほか入口の反対側の角には、伝
統的な薬の素材に使われるハーブ、樹木、灌木などを植えた
小さな庭園があります。この庭園の設営にあたっては、大気の
浄化に果たす役割や、他の生物の生息地としての機能も考え
られています。 宇宙の象徴である曼陀羅をコンセプトにデザ
インされたネパール館では、こうしたアイデアに加え、仏教とヒ
ンズー教が持つ精神の融合から生まれたネパールの芸術、
建築、文化、生活を紹介し、ネパールの人々の「生きる智恵」
をお見せします。