直流注入ブレーキ付きグラインダー
マイコンの動作

マイコンは電源が入ると、0.1秒後にSSRが導通します。直列に100Vの電源とリレーを接続してあります。マイコンにはLEDバーが付いておりSSRが導通する時間を表示します。例えば直流の注入時間が4秒に設定されていると、4、3、2、1とLEDが消えていきます。ブレーキがOFFになるとすべて消灯します。直流注入が終わった後、2秒後にLEDバーがブレーキをかける時間だけ点灯します。また緑のLEDも点灯します。ロータリーエンコーダーを回すと、ブレーキをかける時間を設定出来ます。0秒〜10秒の設定が出来ます。なおマイコンの基盤にSSRも実装されています。

グラインダーへの実装

直流注入回路をグラインダーに取り付けました。グラインダーの台の下にトランス、整流回路、リレー、5VAC-DCパックなどを取り付けました。グラインダーのメインスイッチがOFFの位置ではマイコンがONになっています。長期間使用しない場合を考えて、元スイッチを付けました。グラインダーのメインスイッチは1回路。1接点なのでこれを2接点の物に替えました。

ウッドターニングでは頻繁にシャープニング(刃物研ぎ)が必要になります。ガウジなど治具を使って研ぐ場合は治具の設定をする必要がありますが、グラインダーの砥石が回っていると設定が出来ません。大型のグラインダー程顕著ですが、中々止まりません。1分以上回っているのは当たり前です。作業を早く進めるには、グラインダーに早く止まってもらう必要があります。David EllsworthnoDVDを見ていたら鉄板を使って止めていました。やり方によっては怪我をする可能性もあり、電気ブレーキを使う方法がベストだと思います。欠点は金がかかることです。直流を誘導モーターに注入することにより、数秒でモーターを止めることが出来ます。

完成

回路の配線が終わり実際に動作させてみました。2秒で止まりました。使用しているグラインダーの砥石は36グリッドと60グリッドが付いていましたが、36グリッドは使わないので、外してあります。120グリッドのGC砥石を注文してあるので到着待ちですが、片側の砥石が付いていないせいか早く止まりました。注文してある砥石を取り付けると多分、止まるまでの時間は長くなると思います。直流の注入時間は簡単に調整できるので問題ありません。下の写真をクリックすると、動画が見れます。

マイコン

マイコンは直流を注入する時間を設定します。タイマーリレーを使っても同じことが出来ますが、タイマーリレーは1個5,000円ぐらいと高価です。5Vぐらいの電源が必要ですが、マイコンはもっと安いのでマイコンを使うのが賢いやり方だと思います。マイコンのプログラムを書く装置とソフトを持っていないので、良く分かった方にお願いしました。下の写真が出来上がりの基盤です。10秒表示のLEDバーが付きます。右下の赤と黒の線は5Vの電源入力、左上がSSRの出力側です。真中上の3本の線はロータリーエンコーダーが接続されています。

回路図

直流注入時間はマイコンで設定します。ロータリーエンコーダーを使用して、電流を流す時間を0秒〜10秒の間で設定できるようにしました。マイコンの電源が入るとSSR(ソリッドステートリレー)が数秒導通します。この結果リレーが動作しモーターに直流が注入され数秒で止まります。

整流用ダイオードはブリッジダイオードを使います。200V、20Aの物は200円〜300円で買えます。写真下↓

注入する直流電流はモーターの定格の2倍ぐらいを目標にします。今回の場合2.7Aの2倍なので5.4Aです。直流抵抗は4.8Ωなので5.4A流すには
5.4Ax4.8Ω=25.9Vになります。

電源用のトランスは現在販売されている物の中から探すと24Vの物になります。電流容量は、出来るだけ安上がりにするためモーターの定格と同じぐらいにします。この場合2.7Aなので3Aにします。つまり2次側の端子が24V,3Aのトランスを購入します。3Aのトランスで5.4Aも流すとトランスが焼けますが、心配ご無用!直流注入は数秒だけなので、トランスが焼けるようなことはありません。

直流電源
直流注入

グラインダーは通常交流100Vの電源で動作しています。スイッチを切った直後に直流をモーターの端子間に加えると、電磁ブレーキがかかります。それでは何ボルトぐらいの直流電圧をかければよいのか?

まずグラインダーのモーターの直流抵抗をテスターで測って下さい。それからモーターの定格を調べて下さい。定格はモーターの胴体に一般的には書かれています。下の写真は手持ちの6インチ(15cm)グラインダーの仕様です。100V、50Hz、2.7Aと書かれています。抵抗はテスターで測ると4.8Ωでした。測定する時はグラインダーのスイッチをONにしてテスターでACコンセントの両端の抵抗を測って下さい。