2012年12月22日
ウッドターニングで良く使われるガウジは、鍛造で作られたものと、フライス盤で溝が掘られたものがあります。鍛造は平らな板をエアーハンマーなどで叩いて曲げて形を作ります。昔は熱くした鉄を、ハンマーで叩いで曲げていました。ラフィングガウジの様に直径の大きなものは、この方法で作られることが多くなっています。一方スピンドルガウジ、ボウルガウジなどは、丸い鉄棒にフライス盤を使って溝が掘られています。溝を掘った後、温度処理、焼き入れをして完成となります。製法はこの2種類に大別されますが、個別の製品についてみていきましょう。
ラフィングガウジは、直径が大きい物が多いので、丸棒から作ったのでは、溝を掘るのが大変なので平らな板から鍛造で作ったものが多くなっています。しかしフライス盤で溝を掘ったものもいくつか発売されています。下の写真は鍛造の物ですが、ハンドルに挿入する部分は細くなっており、振動が出やすくなります。細いので、ネック部分を折ってしまった人も居ます。
一方右の写真はP & NとD-Way Toolの物です。両方ともフライス盤で溝を掘っています。溝を深く掘る必要があり、材料の無駄使いの様に思われますが、このラフィングガウジの特徴はネック部が丸棒で太いので、振動しにくく丈夫です。
スピンドルガウジは、鍛造とフライス盤の2つの製品があります。しかしフライス盤で溝を掘った製品の方が、主流になっています。フライス盤の方は、先端が丸いので深く切り込んでいく時に、使いやすくなります。一方鍛造の方は刃の円弧が大きいので、皮をむくような作業に向いています。スピンドルワークでラフィングガウジでは、細かな形が作れませんが、この鍛造のスピンドルガウジでは、形を自由に作れ、きれいに皮むきが出来ます。ベベル角を20度ぐらいにすると、スキューの様に綺麗に切れます。亀城工房では鍛造の物を大小2本持っています。フライス盤の方は、5本ぐらいあると思います。
ラフィングガウジ
スピンドルガウジ
ボウルガウジ
下の写真は市場で売られている製品です。同じスピンドルガウジですが、用途によって使い分けることになります。
ボウルガウジは、溝が比較的深いのですが、ラフィングガウジ程太くないので、小生の知る限りフライス盤で溝を切ったものだけが市場には出ています。右はThompsonのV字のボウルガウジです。
スピンドルガウジ
ラフィングガウジ