色々な木取り(木表&木裏)

製材した木の隋のある側を木裏、外皮のある側を木表と呼びます。木取りの方法としてはAとBがあります。どちらが良いかという問題ではありませんが、それぞれの問題点と特徴を分かっておく必要があります。

木は乾燥すると収縮します。木の種類によっても変わってきますが、一般的には円周方向で8%、半径方向で4%の収縮があります。木の上下方向の収縮は0.1%ぐらいで無視できる量と言えます。木がどの様に変形するか知っておく必要があります。

2012年3月1日

木表と木裏

木の乾燥と収縮

木工旋盤に木を取り付けて挽いていくとき、木のどの部分を使っているか、木目の方向はどうなっているか理解している必要があります。

ボウルを作る場合の木取りは、大別すると木口の木取りと板目の木取りの2つに大別できるでしょう。ナチュラルエッジボウルでもそれは同じです。

1、木口の木取り:ボウルの上下方向に木目が通ります。木の直径と同じボウルの大きさにすると、隋がボウルの底に来ますので、そこから割れが出やすくなります。割れ止め対策が出来れば木の収縮が小さいので、悪い木取りではありませんが、一般的ではありません。隋の位置を避けた小径のぐい飲み、ワイングラス、カップなどは、割れの問題が出ないので、この木取りは良く採用されます。

2、板目の木取り:ボウルなどはこの木取りが一般的です。割れが出る隋を外して挽くことが出来ます。問題は木目がボウルに水平に通っているので、1つのボウルで必ず2か所の木口が出来ることです。またこの木口は木でガウジのベベルをサポート(支えることが)出来ないので、きれいに木口を切れません。そのことを頭に入れてこの板目の木取りを挽いていく必要があります。ガウジできれいに切れなかった木口の部分は、良く研いだスクレーパーとかガウジのシアーカットなどで仕上げます。仕上げが上手くゆくと、サンドペーパーの量を減らすことが出来ます。

この場合は底がへこむ方向に変形するので、すわりが悪くなると言う問題はありません。お盆の様に薄くて底面が広いものは、この木取りにすれば、挽いた後にすわりが悪くなるという問題は避けることが出来ます。欠点としては赤身の心材をすべて削り取ってしまうことです。木の色の変化を楽しむことが出来ませんが、底の処理は特に必要がありません。

ボウルB

木表がボウルの上に来る場合は、底が丸くなる方向に木が収縮します。乾燥材の木を挽いても、木は大なり小なり動きます。この底が丸くなる動きは、安定して置けなくなるという問題が出ます。しかしボウルの外側は心材と辺材の両方が外側に出るので、木の色の違いを楽しむことが出来ます。すわりが悪くなることについての対策は、底をガウジなどで変形を見込んで掘っておきます。またナチュラルエッジのボウルなどの場合は、この木取りでしか実現できないので、底の処理に気を使う必要があります。

ボウルA