2012年1月9日
モーターは2馬力、3馬力ですが、コアリングをやらない限り2馬力で十分でしょう。コアリング(ボウルの切り抜き)をやる場合は、3馬力あった方が旋盤が止まらずやり易いでしょう。
メーカー | Powematic | Woodfast | Vicmarc |
型名 | 3520B | M910 | VL300ショートベッド |
最大旋回直径 | 51cm | 52cm | 60cm |
センター間 | 68cm | 91cm | 50cm |
モーター | 2馬力 | 2馬力 | 3馬力 |
電源 | 単相200V | 単相200V〜240V | 単相200V〜240V |
バリアブルスピード (インバータ式) |
○ | ○ | ○ |
回転数表示 | ○ | × | △ |
逆回転 | ○ | × | ○ |
プーリー | 2段 | 6段 | 3段 |
主軸 | 1 1/4”x8TPI | M30x3.5 | M30x3.5 |
モーズテーパー | 2MT | 2MT | 2MT |
インデックス | 36ポジション | 24ポジション | 24ポジション |
アウトボードターニング | ○ | ○ | ○ |
延長ベッド追加 | ○ | × | ○ |
重量 | 290kg | 270kg | 275kg |
価格 | \399,000 | \300,000 | \550,000 |
販売店 | オフコーポレーション | ウッドターニング上手 | ウッドターニング上手 |
旋盤のヘッドストックの右側をインボードと呼び左側をアウトボードと呼びます。アウトボードターニングとはハンドホイールを取り外してそこにワークを取り付けることが出来るようにしたものでベッドが無い部分で挽くことになるので、直径の大きい物を挽くことが出来ます。しかし西洋木工旋盤の特徴である、芯押し台が使えません。従ってお皿のような薄い物は問題ありませんが、部厚い物はワークが飛んでしまう危険性があり、作業に制約が出ます。しかしこれが出来ないものより出来た方が良いのは言うまでもありません。
VL300ではインボードもアウトボードも右ネジを使っているので、チャックのインサートを別に購入する必要がありません。しかしM910では左ねじになっているので、アウトボードで挽く場合は左ねじのチャックインサートが必要になります。3520Bはヘッドストックが動かせるので、チャックをインボード側に取り付けて、ベッドの反対側まで移動させればそのまま挽けます。これが機能的には一番良いでしょう。しかしヘッドストックが動くということは、精度の問題が出ないか心配にはなります。
M910には逆転スイッチが付いていません。これはこのクラスの大型旋盤としては、少し問題ですが電気の知識があれば、切り替えスイッチを増設することが出来ます。OK工房で実験してみましたが、問題なく逆転させることが出来ました。配線は下記のようにすれば、切り替えスイッチを取り付けることが出来ます。逆転できるようになれば、主軸からワークが外れる方向になるので、その対策が必要になります。
手書きで見にくいかもしれませんが、インバータの入力端子の+24、Li1、Li2を探します。Li1には青色の線が接続されており、これで正転になります。Li2に青色の線を接続すると逆転になります。したがってこの青色の線をトルグスイッチでLi1、Li2に切り替えればよいわけです。トルグスイッチは小さなものをスイッチボックスのあいているところに穴をあけて取り付けます。線は3芯のケーブルを買ってきてスイッチボックスからインバーターまで2mぐらいを配線します。なお電気の知識がない方は、手を出さないで分かった人に頼んだ方が良いでしょう。夢工房さんは小生に依頼されましたので、新年になったらやってあげることにしました。
6、逆回転
電源電圧は、3520Bの場合日本の電源に合わせた単相200Vに対応と説明しているが、右の写真は小生が撮影したM910のヨーロッパ製のインバータの写真です。200V〜240Vまで対応しています。この範囲の電圧をかければ2馬力の出力になるということです。VL300に付いているインバーターは日本製の富士電機のものですので当然ですが、200V〜240Vに対応しています。インバーターメーカーは、世界中に同じものを売りたいので、このように入力電圧は幅を持たせています。従ってM910とVL300を買うときは、電源電圧の問題でパワーダウンを心配することはありません。それより単相200Vの電源を準備する方が、一般的には難しいでしょう。クーラー用の専用線が使えれば簡単に100V⇒200Vに切り替えることは出来ますが、なければ電気工事が必要で、数万円の出費になります。
海外販売価格 | 換算円価格 | 国内販売価格 | |
3520B | US$3,400 | 27.2万円 | 39.9万円 |
M910 | AU$3,360 | 27万円 | 30万円 |
VL300 | US$4,495 | 36万円 | 55万円 |
7、アウトボードターニング
5、回転数表示
アメリカでは木工旋盤は100モデル以上販売されています。しかし日本国内で木工旋盤を購入する場合、あまり選択肢がありません。特に大型旋盤ではその傾向が強くなっています。しかし今回オフコーポレーションでPowermaticの3520Bが発売されることになりました。オフさんはもっと早くこのような、本格的な旋盤を販売してくれればよかったのですが、今回やっと期待に応えてくれました。今回は国内で購入できるいずれ劣らぬ実力機、3台を比較してみたいと思います。3520BはAAWのシンポジウムでアメリカへ行ったときに触りましたが、挽いたことはありません。M910はOKさんの工房に行って、インバーター周りなど詳細に調べました。VL300は使用中で満足しています。それでは仕様面を中心に比較していきましょう。
8、価格
全モデルインバーターを使っているので、回転数の調整はベルトをかけ替える必要はありません。回転数の表示は3520Bがヘッドストックに表示窓が付いているので、これが一番見やすいです。VL300の場合は下の台に表示窓があるので、挽きながらの確認は難しいでしょう。M910はインバーターが完全にベッドの下に入っているので、回転数の確認は出来ません。しかし上手くなっていると、感覚的にわかるので必要がなくなってきます。どうしても必要な場合は右下の写真のデジタル回転計を取り付けるという選択肢もあります。
4、電源電圧
M910はその名の通り910mmまで挽けますので、延長ベッドは、不要かもしれません。VL300の場合は必ず必要になります。それは、テイルストックが邪魔になるので、旋盤から外そうとすると重くて苦労します。テイルストックを退避させるため延長ベッドかテイルストックスインガーが必要になります。
2、センター間
3、モーター
VL300が60cmと一歩リードしているが、50cm挽ければほとんど問題ないでしょう。どの機種もアウトボードターニングが出来るので、さらに大きいものをやりたいときは、アウトボード側で挽くことになります。