2011年8月26日

完成

サンドペーパーを400番まで普通にかけた後、コンパウンドを使って磨きます。

錫のぐい飲みの製作

コンパウンドで磨くとピカピカになります。

ターニング

自然に冷えるのを待って、錫と木の間にマイナスドライバーをハンマーで叩きこんで型を外します。

鋳造

錫の球をステンレスの容器に入れてバーナーで炙ります。ステンレスの容器はホームセンターで売っていた取っ手の付いたものです。ステンレスなので、1000℃以上にならないと溶けないので、錫の320℃に対しては十分高いと言えます。錫全体が完全に液体になるよう十分バーナーで炙ります。後は型に流し込むだけです。

錫を流し込む型は、安い木を挽いて作ります。仕上がりの外形よりさらに大きい形で挽きます。壁は薄めにしておきます。錫を流し込んだあと、割り易いので薄くするわけです。錫の底の中心が分かるように、木の底の中心は尖らせておきます。

型の製作
錫器
錫師

反射を押えることが出来ず、写真を上手く撮れません。出来上がり重量は175gです。木に比べるとずっしりと重いです。

真空チャックでつかみ直して底を仕上げました。開口部が狭いのですが、何とか真空チャックは機能しました。

木と違うのは切りくずが絡まることです。このためにターニングははかどりません。切りくずを取り除きながら切って行きます。

底の中心が凹んでいるはずなので、そこをカイテンセンターで押してチャックに押し付け、つかみしろを作ります。

チャックでつかみ直して挽いていきます。

"錫師"とは、多くは半田やメッキに使用される錫を用いて、酒器や茶器などの様々な容器を作成する職人のことである。錫師の技術は、1200〜1300年程前の飛鳥・奈良時代に中国から伝えられたといわれる。茶が伝来した時の茶壷が錫器であり、その後主に酒器に錫が利用されるようになった。奈良の正倉院には錫製の瓶子型容器をはじめ、二・三点が宝物として納められている。

内側はまずドリルで穴をあけました。

ガウジよりスクレーパー型の穴掘りツールの方が効率よく削れます。ガウジだと切り取った切りくずが、壁面にこびりついて、ガウジのベベル面をバウンドさせます。木だと壁面に切りくず留まることは無いのでガウジの方が上手く切れますが、錫では事情が違うようです。

外側をまず挽きます。ガウジを使って挽きましたが、切りくずは下に紙を置いて回収します。木と決定的に違うのは、切りくずは溶かしてまた使えるということです。床に落ちた物も拾い集めました。

材料の入手

ネットで検索すると錫を売っている販売店を見つけました。材料屋ドットコムです。錫器には95%以上の純度の錫を使っているというので、その範囲で出来るだけ安い物を探しましたが、99.9%の3Nしかありませんでした。1kgで3、000円しましたが、95%だともっと安いのかも知れません。溶かしやすい直径20mmの球で送られてきます。

その錫師が作った錫器はインターネットで検索すると沢山売られています。ハンマーなどを使って色々な模様を表面に刻印出来るのが木と違うところです。右の写真の物を見て下さい。名人が作るとこの様な素晴らしい物が簡単?に出来るようです。

230℃で溶ける錫なので簡単に溶かすことが出来て型に流し込みます。それをロクロで挽いて仕上げるのが主な工程です。錫師の皆さんは和式ロクロを使っておられますが、我々が持っている木工旋盤でも問題なく出来るはずです。今回は錫のぐい飲みの製作に挑戦です。