2010年8月31日

ラフィングガウジ
スピンドルガウジ
ガウジの種類

今回紹介したガウジの形にに研ぐのは、フリーハンドと治具を使ったやり方があります。フリーハンドは慣れれば早く研げますが、不器用な人には無理です。治具を使ったやり方は誰にでも出来る方法で、夢工房DVD基礎編に、詳しく出ていますので分からない方はDVDを買ってください。マイクマホーニーは、YouTubeでセミフリーハンドの研ぎ方を紹介しています。小生もやってみましたが、意外と簡単にできました。しかし治具を持っている人があえてこの研ぎ方に変える必要もないでしょう。バリグラインド治具を持っていない人はこの方法を試してみると良いでしょう。

ラフィングガウジはスピンドルワークにしか使わないので、スピンドル・ラフィング・ガウジと正式には呼びます。板を丸く半円筒状にしたもので、ベベル角は普通45度にします。角材を丸い円筒状の形にするときに使います。ボウルガウジでも出来ますが、このツールの方が効率良く早く作業を進めることが出来ます。その理由はブレードの厚みがボウルガウジより薄く、切り取る量が多くなるからです。スピンドルガウジは溝が浅いので、切り取る量が少なくなります。従ってラフィングには向きません。プロの方でこのラフィングガウジをフェイスワークで使っている場合がありますが、彼らの腕前だと安全に出来るからやっているのであって、決して初心者は真似をしないで下さい。スピンドルワーク専用のツールです。

ウッドターニングで良く使われるツールはガウジです。ガウジは3種類に大別することが出来ます。ラフィングガウジ、スピンドルガウジそれにボウルガウジです。

スピンドルガウジはガウジの溝が浅い(Shallow)のでシャローガウジと呼ぶことがあります。スピンドルワークで良く使うので、スピンドルガウジと呼ばれたり、細かい作業に向いているので、ディテイルガウジと呼ばれたりします。同じメーカーでスピンドルガウジとディテイルガウジがあった場合は、ディテイルガウジの方が溝が浅くなります。溝が浅いので、細くても振動しにくいという特徴があります。細かな作業をするので、ベベルは30度ぐらいにします。先端の形はフィンガーネイルと言う、指の爪に似た形にします。研ぎ方はボウルガウジのように色々な形にはせず、このフィンガーネイル型だけになります。

右上の写真の物は両翼があまり伸びておらずショートベベルになっています。またダブルベベルになっており、ボウルの内側などの曲面に沿って削りやすくなっています。大まかな形を作るときは普通のフィンガーネイルのガウジを使い、最後の微妙な仕上げにはこの様な、ショートベベルのフィンガーネイルガウジがあると綺麗に仕上げることが出来、サンドペーパーを少なくすることが出来ます。

アイリッシュグラインド
ボウルガウジ

ボウルガウジは溝が深いのでディープフルートガウジと呼ばれることもあります。ボウルなどのフェイスワークに使います。溝が深いので、すくい取る木の量は多くなります。ボウルを掘る場合スピンドルガウジを使うより、ボウルガウジの方が早く効率よくできます。研ぎ方はいくつかあります。下の図はフィンガーネイルになっていますが、用途に応じて違った研ぎ方があります。溝が深いのでツールレストから飛び出し量が増えれば、ツールが振動しやすくなります。従ってスピンドルガウジより太い3/4”ぐらいまでの物があります。

フィンガーネイルグラインド
トラディショナルグラインド

トラディショナルとは昔ながらの伝統的な研ぎ方と訳せば良いでしょう。ボウルガウジを新しく買うとフィンガーネイル型ではなくこの形で送られてくることがあります。ボウルの底など、木口でも綺麗に切ることが出来ます。ボウルをよく挽く人は、この形の物をぜひ1本持っていると良いと思います。フィンガーネイルのガウジでベベルをワークにこすろうとすると、シャフトがボウルの淵に当たってベベルラビングができないことがあります。その時にもこのツールは有効になります。ラフィングガウジと同じ研ぎ方をします。

上の写真の様にガウジの両翼が非常に長い研ぎ方をアイリッシュグラインドと呼びます。この長く伸びた両翼をワークに斜めに当ててシアーカット(仕上げ削り)ができます。それがこの研ぎ方の大きな特徴です。しかしフィンガーネイル型でもシアーカットは出来ますので、これを1本準備する意味は、あまりないと思います。特に初心者は長い両翼を引っかけてキャッチングさせる危険性があるので、フィンガーネイルグラインドで練習した方が良いでしょう。右の図はアイリッシュグラインドの一つの種類でダブルベベルになっています。上級者が自分が使いやすいように改造すると、この様な形になってくるのでしょう。しかし一般的ではありませんので、この研ぎ方はあまりお勧めではありません。一度は試したいという方は手持ちのガウジをこの形に研ぎなおせば、試すことは出来ます。研ぎなおせばガウジは短くなりますが、新しい物を1本買うよりは出費は抑えることが出来ます。

ちなみに小生は写真の4種類のボウルガウジと同じ研ぎの物を揃えています。もちろん一番良く使うのは、フィンガーネイルグラインドです。

下の表はトルメックの説明書に出ているガウジの研ぎ方の一覧表です。治具をどの様に設定すれば希望の刃先の形にすることが出来るかすぐにわかります。これはトルメックの治具でなくてもワンウェイのバリグラインド治具でも同じように出来ます。と書きましたが、一番上の段のJS0の形に研ごうとすると、ツールの柄の口金の部分がグラインダーのツールレストに当たって研ぐことが出来ません。従ってフリーハンドか下にリンクを張ったMaike Mahonyの研ぎ方でやるしかありません。あるいはツールを柄から抜いてバリグラインド治具に取り付ければ研ぐことが出来ます。

指先の形に似ているので、フィンガーネイルグラインドと呼ばれています。ベベル角は40度ぐらいから60度ぐらいまで、使いやすい角度を選びます。小生は55度だったものを最近は50度にしています。このぐらいが小生にとっては一番使いやすい角度になります。ボウルの淵などに切り込んで行くとき、トラディショナルグラインドでは両翼が邪魔になりますが、この研ぎ方では躊躇なく切り込んで行くことが出来ます。これが一番標準的な研ぎ方ですので、ボウルガウジを1本しか持っていない場合はこの形にするのが良いでしょう。