回生ブレーキ

旋盤が止まる様子は、下の写真をクリックして下さい。

何か良い方法が無いか考えた結果やはり直流制動です。直流制動については右下の説明を参照して下さい。小生のVL300のインバーターは3000RPMまで回るように設定していますが、直流制動は色々試した結果700RPMから利くようにしました。従って例えば2000RPMで回していた場合、停止ボタンを押した後2000〜700RPMまでは上記のインバーターの回生ブレーキが利き、その後は直流が注入されるので、急ブレーキがかかります。高い回転数で急ブレーキをかけると、チャックが主軸のネジから外れる方向になるので、700RPMに設定しました。またVicmarcの場合はチャックを押さえるリングが付属しています。

旋盤のモーターが回っている時はインバーターからモーターに電力が供給されています。この状態でインバーターの回路をモーターから切り離すとモーターはフリーランします。摩擦抵抗、空気抵抗などで自然に止まることになりますが、止まるまで非常に長い時間がかかります。従ってインバーターの回路は切り離さず電力の供給だけを止めます。そうするとモーターは回っているので、発電機となりインバーター側に電力を供給するようになります。この電力をインバーター側で消費すれば、モーターはフリーランの状態より早く止まります。この様なブレーキのかけ方を回生制動と言います。インバーターにはオフにした後、モーターが止まるまでの時間を設定することが出来るようになっています。しかしこの時間を短く設定しすぎると、インバーターに大電流が流れて、保護回路が働きます。トリップという現象が起こりインバーターをリセットする必要が出てきます。また大きくて重い物を高速で回していると慣性モーメントが大きいので、インバーターに戻る電力も大きくなるので、トリップが起きやすくなります。

VL300ではこの減速時間は4秒に設定されていると思います。古いモデルでは6秒になっていることもあります。この設定だと殆どの場合、トリップせずに回転を止めることができますが、非常に大きくて重い物を回しているとトリップします。

旋盤のインバーター直流制動
インバーターの設定変更

インバーターのパラメーターを変更して試してみました。最初はジャンボチャックを付けて1000RPMで回してみました。このジャンボチャックは800RPM以上にしてはならないとされている物です。700RPMからは直流ブレーキがかかるので、かなり早く止まるようになりました。次にVM100というチャックだけを付けて1500RPMで回しましたが、1500〜700RPMはゆっくり減速するので、あまり早く止まりません。負荷の軽い時は直流ブレーキを高い回転から効くようにしたくなります。ペンなどを中心にしている方は高速の回転から効くようにすれば、作業がはかどるでしょう。実際に使ってみて、設定を最終的に決めたいと思います。

チャック押さえリング

高級な木工旋盤ではインバーター+三相誘導モータが使われています。インバーター式の良い点は回転数を自由に変えることが出来ることです。一般的には0〜3000RPMぐらいに設定されていますが、0〜4000RPMに設定することも出来ます。インバーターはマイコンを搭載しているので、自由に設定パラメーターを変えることで、用途に応じた設定にすることが出来ます。工場のコンベアー用と水をくみ上げるポンプ用では設定が変わってきますので、それぞれ最適の設定を出来るようにしています。それでは木工旋盤では、どの様な設定が良いのか?VicmarcのVL300などのメーカー製の旋盤は、メーカー側がマイコンの設定をやっていますが、安全性を重視しています。インバーターは直流制動という、回転しているモーターに直流電流を流して、急停止させる機能が付いていますが、Vicmarcでは使っていません。インバーターの制動に関することを少し説明します。

下の写真の右がチャックと主軸の間に押さえのリングを取り付けたところです。チャックと主軸の両方に溝が切ってありそれを使って、リングでロックします。これを付けているとチャックが主軸から外れることはありません。旋盤を逆転させる時と、この直流制動をかける場合など取り付けると安全に作業出来ます。小さいワークならしっかり主軸にチャックを締めつければ、外れることは殆どありませんが、大きいワークの場合は、慣性モーメントが大きいので外れやすくなります。

直流制動
東芝のインバーター

下の図は小生が使っている東芝のインバーターの取り扱い説明書です。dEC(減速時間)を設定することで、停止ボタンを押してからモーターが止まるまでの時間を設定できます。自動設定にすると設定時間の1/8倍〜8倍の間で負荷に応じて自動的に調整してくれます。しかしこね鉢など大きくて重い物を回す場合、減速時間を相当長くしておかないとトリップが起きます。軽い物をやる時はトリップしないので、簡単にこの減速時間を変えることが出来れば良いのですが、設定のメニューを出すのには時間がかかります。