KERV KC-14使用リポート
ボルトで固定出来ない?

回転センターは突き棒で抜くのが一般的ですが、この旋盤はハンドルを回してクイルを引っ込めると抜けるようになっています。突き棒で抜く習慣が付いている小生には非常に使いにくい。ロックレバーの横のナットのような物が付いていますが、これで抜けるようにしている物と思います。旋盤に付属する回転センターはお尻に穴があいており突き棒で押せないようになっています。小生手持ちの回転センターでは突き棒で押せますので、突き棒を使いたい人は、旋盤に付属の回転センターを使わなければよいと思います。この旋盤しか使わない人にはこれは問題ないでしょうが、2台以上持っている人にはかえって使いにくい

ベルトは真ん中の1:1のところに入っていたので、仕様表では中速の回転数560〜1700RPMになると思います。しかし回転数調整のつまみを右一杯に回しても1700RPMまで上がっていないように感じます。回転計で測っていないので、正確なことは分かりませんが、モーターがアメリカ仕様の120Vの物になっており、100Vで使った場合電圧不足で回転数が十分に上がらない物と思います。モーターにはオフで貼り付けたシールがあり100Vとなっていますが、メーカーが数の期待できない日本向け専用のモーターを開発したとは思えません。

上記の記載は間違いで日本の電源電圧100Vにきちんと合わせた仕様のモーターを使っておられます。お詫びして訂正します。

肝心のモーターの馬力ですが、3/4馬力となっています。少し厚めにガウジで削ってみると、1/2馬力では簡単に回転が止まるのですが、これは止まりません。更に深く入れてみると、もちろん止まります。3馬力のVL300を常用している小生には少し物足らないのですが、一般的にはほぼ満足出来るレベルと思います。1馬力のモーターが付いておれば100%満足出来ると思います。

モーターの馬力
ロックピン

ロックピンが付いています。ロックするときは差し込み、解除するときは引き抜きます。引き抜いたロックピンが何処かへ行ったしまう可能性があるので、置く場所を決めてマグネットなどで固定しておく必要があります。上級機の様に旋盤の本体に固定されていると良いのですが、ロックピンが付いていないよりは、付いている方が良いというのは言うまでもありません。

総評

オフコーポレーションの販売開始記念でNOVAのチャックをおまけでもらった人は、良い買い物をしたと思います。この旋盤を最初に見たときの感想は、奇麗な仕上げだと言うことです。スチールシティの旋盤は非常に安物と思わせる仕上がりです。それに比べるとまずは高級品という感じで好印象を持ちます。このクラス最大の35cmまで挽けると言うのも旋盤が軽量なので、宣伝通り受け取ることは出来ませんが、30cmの物よりは有利と言えるでしょう。

ツールレストのロックが緩むとかテイルストックできちんと押せないなど基本的な問題はありません。しかしツールレストが十分に下げることが出来ないという問題は指摘しておきます。手を加えれば、改善出来る内容ですが、メーカーが最初からやるべきだと思います。ボルトを上から差して旋盤を固定出来ないのも不満です。持ち運びが出来る取っ手が付いていたり、電源コードを巻きつける金具が付いていたりで細かな気配りが感じられる一方、前述の問題があります。良く考えて作ったはずだが抜けがあると言う感じで今後の改良を期待したいと思います。

持ち運びし易いように取っ手が両側に付いています。これは便利です。また写真がありませんが、電源コードを巻きつける金具がベッドに付いており、持ち運びの時に電源コードを巻きつけることが出来ます。これは細かな気配りです。

これはNOVAのチャックが主軸に取り付けられた状態です。爪は完全に閉じた状態から最大に開いた時のストロークがVicmarcの半分以下なので使いにくいように感じます。サービスで旋盤に付属していたので文句は言えませんが、新たに買う場合は考えた方が良いと思います。

上総木工交流会のメンバーの方が購入したので、使わせて頂いた。直径15cm程の小さなボウルを1つ挽きました。実際に使ってみると色々気になるところがあります。良いところ悪いところすべて、小生の主観で書いてみました。絶対的な評価ではありませんし、間違っているかも知れませんが一つの意見として見て下さい。

旋盤を作業台に固定するためのボルトの穴が何処にも付いていないのです。どうなっていると騒いでいると、横にいた人が教えてくれました。ボルトが旋盤を置く台の下側から差して固定するようになっていると言う。旋盤を持ち上げて覗いてみると確かにボルトをねじ込むことが出来るネジ穴が裏側にあいている。作業台の下に頭を突っ込んでボルトを固定しろと言う訳です。これは非常にやりにくい。右下の安物のスチールシティの旋盤でも上からボルトで固定出来る様になっています。一旦固定したら2度と動かさない人にはこれでも良いでしょうが、取っ手の付いている旋盤でもあり、動かすたびに台の下をのぞきこまなければならないのは、困った物です。なぜこの様な構造にするのか理解できない。この当たりがストレートな構造の方が作り易いのかも知れません。しかしそれはメーカーの論理で、ユーザーとしては使いにくい物になります。

これがオーナーさんが持ってきたKC-14です。チャックのインサートが旋盤の主軸に付いていたので、異様に感じました。すぐに取り外してチャックの方に取り付けました。NOVAのチャックはこの旋盤を買った時にサービスで付いてきた物です。

早速挽いてみましたが、挽いているところの写真は撮るのを忘れました。気になったことはツールレストを一番下にした状態でガウジの刃の先端が中心より上に来てしまうのです。ガウジの柄を水平にしないと中心が削れません。これはちょっとやりにくい。右下の写真の矢印のバンジョーの上を削るか、ツールレストを削ればもっと下げることが出来ます。ツールレストのポスト径は25mmと太くがっちりしており、この点は良いと思います。挽いていてもツールを安定してサポートしてくれます。しかしもう少し下にさがって欲しい。